<第10話 バイト生活>
そこからは全てがスキーの為の生活になりました。
遠征資金を貯めるためにバイトもしました。
パチンコ店や居酒屋の店員、寿司屋の配達員、
警備員、ガソリンスタンド…ありとあらゆるバイトをやりました。
毎日朝5時から夕方5時まで必死で働きました。
バイトが終わった5時過ぎからは、トレーニングの為にジムに通いました。
北海道に移住して2年目の春、
「このまま、だらだらモーグルやっていても楽しくない。
やるなら、今年中にナショナルチームに選ばれたい!
そうで無ければ、辞めて違うことをしよう!」と決意しました。
そんな気持ちを強く持ち続け挑んだ冬、
ほぼ全部の国内大会のタイトルを取る事ができました。
そして3年目の23歳の春、
念願のナショナルチームに抜擢されたのです。
しかし、ナショナルチームに入ってからの3年間は、
チームに付いて行くことだけで精一杯で、
そこからのことは何も考えられなくなっていました。
でも、オリンピックを目前にして気がついたのです。
大学を辞め、親に迷惑をかけて、突き進んできた自分は今、何をすべきか。
目の前にはオリンピックがある。
そして、その切符が手に届くところにある。
今までの6年間を無駄にして逃してしまうのか?
いや、絶対にオリンピックに出てやる!!
という強い思いがこみ上げてきたのです。
その後、世界選手権で11位などの成績を収めたことが功を奏し、
ソルトレイクオリンピック出場が決まりました。
ついにオリンピックへの切符を手にしたのです。
初めてのオリンピック。
ただ、ワールドカップの延長?…何がなんだかわからぬまま、
終わってしまいました。
その時から、「二度とこんな終わり方はしたくない。
もう一度、4年に1度の祭典、オリンピックに出場したい。」と思うようになり、
次の目標はトリノオリンピック出場となりました。
<第11話>へ続く…